1930年(昭和5年)2月25日付 大阪每日新聞朝鮮版より引用 内地に学籍をおく学生に化けて渡航
非合法な手段による内地渡航について。1928(昭和3)年7月以降、在住地警察署に渡航を申請して渡航紹介状を交付してもらう制度が実施されたが、それに対して、他人の戸籍謄本や留学生の在学証明書を使用し氏名を偽って提示する、内地在住の知人に死亡や危篤のニセ電報或いは雇傭証明書を作成送付させて提示するなどといった不正手段だけでなく、駐在所首席巡査の私印や警察署の公印を偽造して紹介状を偽造するという刑事犯罪まで登場したことが『暴徒史編輯資料/高等警察要史』(慶尚北道警察部 1934)の149ページに記されているが、ここでは更に巧妙となり内地の学校に入学するという体で在学証明書を合法的に取得、使用するようになっている。この手段は長らく横行したようであり、1941(昭和16)年12月の帝国議会で使用された説明資料「朝鮮人の内地渡航取締に関する朝鮮総督府の要望事項」に「私立学校在籍の朝鮮人学生の携帯する在学証明書中往々写真の貼付なきものあるを以て必ず写真を貼付する様学校当局へ徹底方取計らはれたきこと」「私立学校にして真に入学修業する意思なき者に対しても在学証明書を発給する向ありて本証明書を不正渡航に使用せんとする者尠からざるに付取締上留意せられたきこと」という項目が見られる。
本記事は韓国国史編纂委員会韓国史データベースに所蔵。
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內地に學籍をおく
學生に化けて渡航
新手の朝鮮勞働者の潛航方法
鮮人勞働者の內地漫然渡航阻止方法がますます嚴重を極めるにつれて渡船を阻止された勞働者はあこがれの內地へ渡航したい一念から渡航證明書僞造、潛航等の脱法行爲で巧に渡航してゐたが最近はかかる手段は古くなり、內地學校の在學證明書携帶者は調査をせずに渡航させることになつてをるのを幸に昨日まではチゲや鍬を摘んでゐた一丁字もない勞働者が俄に內地學校に籍を置く學生に化け渡航する新手の方法が發明され取締係官を困らせてゐる、その方法は內地にある自動車、簿記、英語學校等に入學手數料を鄕里から送金して二、三ヶ月前の發行日附の在學證明書を送つて貰ひ、汽車賃は朝鮮線は四割引、內地線は二割引の恩典に浴することができその結果は入學金を控除してもなほ安い旅費で渡航の目的を達するからである(釜山發)